小児愛や誘拐などの児童虐待は、現代社会で大きな問題になっている。

アンジャ・ジャンコウィッチという名の少女は、ごく普通で、快適な暮らしを送っていた。8歳の時、ある夜学校からの帰路で、白いバンによって誘拐されるまでは。その日以来、彼女は10年もの歳月を、わずか5平方メートルの日の射さない部屋で、誘拐犯とのわずかな会話を除き、誰とも交流することなく過ごした。

しかし2006年の8月、誘拐犯の気をそらしている隙に、奇跡的に脱出することに成功する。

当映画「オープンハウス」は、少女アンジャが脱出に成功し、再び自由になったことを家族に報告する一本の電話から始まる。これは、約20歳の彼女がどうやって社会復帰していくかを描いた物語である。心強い家族の支えを受けながら、彼女が一度なくした外の社会への信頼を取り戻していく様を、家族との関係、また彼女の新しい価値観を通して描いている。

アンジャは彼女の姉であるマリーしか知らなかったが、帰宅後、彼女の新しい兄妹にであう。13歳のヴォロディア、7歳のオーギュスタン、そして6歳のルイジア。ルイジアはダウン症で、アンジャは彼女からたくさんの勇気をもらい、忍耐の大切さを学ぶ。

当映画は、アンジャの解放直後の一年間の生活を追ったものだ。どうやって彼女が人との触れ合いのある人生を取り戻し、大人の女性になることを受け入れ、他人への恐怖心を克服していくかを描いている。

温かく彼女を迎える家庭を持つ一方で、あらゆる恐怖、特に再度誘拐されるかもしれないことへの恐怖から、アンジャは外出することを拒むようになる。それが「オープンハウス」というタイトルの由来である。

しかしある日、アンジャに恋をした同じ通りのパン屋の若い青年が彼女を家から誘い出すことに成功し、以来二人はあらゆる出来事をともに経験していく。こうしてアンジャは徐々に自信を取り戻していく（物語を読み進めながら、どんな出来事が二人に訪れるのか見出していっていただけたらと思います）。二人を結ぶこの愛によって、アンジャは他人への信頼を取り戻し、皆が自分の10年の人生を奪った誘拐犯と同じではない、と悟る。

四季の巡りと共にアンジャが徐々に成長していく様をご覧になっていただけたらと思います。物語は秋から始まり、彼女にとって一番困難な時期である冬が過ぎ、春が青年との出会いをもたらし、そして夏、彼女は自尊心と他人への信頼を取り戻します。